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本校の使命
シンガポール日本語補習授業校は、日本語及び日本の伝統文化に関する教育を行うことを通して、国際社会に生きる子どもの成長を促し、支援することを使命とする。
使命を達成するための条件
教職員
学校の価値を決定するのは教職員の情熱と資質である。質の高い学校教育は、教育愛に裏打ちされた自己啓発に励む、健康で快活な教職員の連携と協力によってもたらされる。
教育課程
国語科として日本の学習指導要領に準拠した適正なカリキュラムを準備し指導にあたる。また、学校における授業だけにとどまらず、家庭学習についても計画的に提供できるようにすることが大切である。
学習指導
一人ひとりの現状と課題を的確に評価し、それを生かす指導に心掛ける。また、指導時間が年間120時間程度と限られているため、保護者の理解と協力の下、家庭学習の充実に努めることが必要である。
連携
教育は学校だけで完結するものではない。したがって、保護者をはじめ関係者との連携を常に求めていく姿勢を忘れてはならない。特に面談や懇談会の機会を活用し、保護者との連携を図ることが大切である。
教育目標
日本語及び日本の伝統文化に関する教育を通して、国際社会をたくましく生き抜く子どもを育成する。 ~基礎基本を身に付け、自分の思いを伝え合う子どもの育成~
本校は、シンガポールに在留する邦人児童生徒を主な対象とした、日本語力の維持・向上を目的とする教育機関である。また、日本語学習の普及と日本文化への理解を促進すると共に、国際交流の充実を目指すものである。 (シンガポール日本語補習授業校学校規則第2条より)
めざす学校像
楽しく、温かく、連携する 学校 (主体は児童生徒)
「楽しい学校」
:安全で安心して学ぶことができる。
:一人ひとりが生かされ、共に学び合える。
「温かい学校」
:認め合い、支え合うことができる。
:一人ひとりの個性を大切にする。
「協同・連携する学校」
:保護者や地域のニーズを踏まえ、協同・連携を図る。
:人材活用で日本の伝統文化の理解を推進する。
めざす子ども像
基礎基本をしっかり身に付け、気付き、考えて動き、やる気をもって取り組む 子ども
「基礎基本をしっかり身に付ける子」
:基礎基本を身に付けた子で、知識・技能と関連付けたり組み合わせたりして、自分から挨拶や行動ができる。
「気付き、考えて動く子」
:自分の言葉で表現できる子で、自分の考えと他の考えを比べながら、聞いたり話したりできる。
「やる気をもって取り組む子」
:めあてをもって意欲的に取り組む子で、「知りたい」「やってみたい」の意欲をもち、協力しながら行動できる。
めざす教師像
家庭と連携して子どもに寄り添った分かりやすい授業を展開する 教師
「授業改善(工夫)に努める教師」
:より良い授業となるように教材研究や授業改善に努める。
「子どもに寄り添う教師」
:子ども一人ひとりの実態に応じた指導・助言を心掛ける。
「家庭と連携する教師」
:適切な家庭学習を提供し、保護者と連携して国語力の向上を図る。
教育課程
国語科
・小学1年から中学3年までの当該学年の国語科指導を行う。
(帰国を目的とする又は学年相当の国語力の育成を希望する者を主な対象とする。)
社会科
・国語科に関連した教材等について、関連科目として取り扱う。
・授業時数については、各学年年間授業時数のうち最大10時間までとする。
本年(2025年/令和7年)度の取組
本年度の入学生は、小学1年生が56名、中学1年生が23名、4月編入生が22名(うち中1年5名含む)で、全校児童生徒数349名でのスタートとなりました。また、教職員は、担任が19名、副担任が6名、ボランティアが20名(うち図書室担当7名)、そして、スタッフ(事務・教務等)は、私を含めて7名で、総勢52名です。
本校に通う児童生徒は、平日、現地校や国際校等で学習し、本来はその学校が休みである土曜日に本校に通学し、日本語や日本の伝統文化を学ぼうとしている志の高い子どもたち、そしてその学びを支える保護者の皆様です。私たち教職員スタッフ一同は、その期待に応えられるよう、私たちの仕事は「未来の日本や世界を創る人を創る仕事」であるということを肝に入れ、一丸となって頑張ってまいりたいと思います
昨今の急速なデジタル化、IT化により、onlineでの学習等、学習形態は多種多様化していますが、日本語に対する「基礎基本」、「思考力・表現力」、「学びに向かう力」を高め、伸ばすためには、教室にいる仲間とともに対面で学ぶということが非常に重要であると考えます。特に、年間120時間の中で日本の学習指導要領に準拠した適正なカリキュラムを実施する本校にとっては、教室空間の中での言わばアナログ的な授業、関わり合いながら学ぶ時間を重要視しています。独りでは限界のある学びも先生や友達とコミュニケーションを取りながら学ぶことにより、飛躍的なものになると考えます。
ただし、感染症の流行や緊急災害時等の不測の事態も想定し、年に1回遠隔授業の体制も取りつつ、対面による授業を原則として行っていきたいと思います。
また、授業は、毎週土曜日3時間、年間40日という限られた時間ですので、その学習を定着させるためには家庭における学習も非常に重要です。学校と家庭の両輪で学習支援を行い、着実に力を付けさせたいと思います。
(本年度の重点取組事項)
①教員の確保と研修
・年間を通して広報活動を継続し、安定的な雇用を確保する。
・全体研修を毎週実施し、授業スキル向上と共通理解を図る。
・校長の授業参観により個々の実態に応じた指導・助言を個別に行う。
・日本人学校の授業参観と研究授業(希望性)により、授業力の向上を図る。
・担任としてのスキルを身に付けさせるため副担任の研修を充実させる。
②日本語力の向上
○家庭学習(宿題)の充実とその支援
・保護者と連携し家庭学習を充実させるとともに、提出物等については、担任が必要な指導をしたり、コメントを加えたりするなどしてきめ細かな支援を行う。
○読書活動の推進
・読書推薦文コンクールに作品を出品する。(昨年度 個人賞2名・団体賞 受賞)
・放課後読み聞かせ教室を継続し、音読・朗読力の向上や読書意欲の喚起を図る。
・日本語の本の読書離れが進んでいる中学生に対して、(希望調査の上)漫画本を購入し、少しでも日本語の活字に触れる機会を増やす。
○生成AIの活用
・中学部を主とし、必要に応じ、次の場面における試験的活用を図る。
→グループワークで、一定の議論やまとめをした上で、足りない視点を見付け議論を深めるとき
→より自然な日本語表現へ改善したいとき
→人ひとりの興味関心に応じた単語リストや例文リストを作成するとき
③校務支援システム(BLEND)の運用による事務業務の効率化
・事務業務の電子化(紙媒体ゼロ)を一層推進する。
・BLEND(プラスシード)により入試事務のデジタル一元化を図るとともに編入試験問題を全面改定する。
④危機管理マニュアルの改定
・シンガポールの実情を踏まえ、児童生徒にとって、より安心・安全が担保できるものにする。
・避難訓練は、火災対応と不審者対応を隔年で早い時期(4月)に実施する。
本年度も保護者の皆様のご理解とご協力の下、教職員とともに力を合わせて、お子さんの学習を支えてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。